中国製ワクチンは「ハラル」 イスラム教徒最多国で認証

ジャカルタ=野上英文
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 世界最多のイスラム教徒を抱えるインドネシア新型コロナウイルスの中国製ワクチンが戒律に沿う「ハラル」と認証され、ジョコ大統領が第1号として13日に接種した。接種を義務化し罰則も設けた政府に、反発する声も上がっている。

 首都の大統領宮殿でこの日の朝、マスク姿のジョコ氏が左腕の半袖をまくり、中国のシノバック製ワクチンの接種を受ける姿がテレビ中継された。ジョコ氏は「大流行から解放される努力が始まった。接種が順調に進むことを願う」とツイート。大臣らも接種し、国民の間にシノバック製ワクチンへの懸念が根強いなか、政権を挙げて効果や安全性をPRした。

 同国では過去に、髄膜炎風疹のワクチンが、原料に豚肉成分を使わないことなどイスラム教の戒律に沿う「ハラル」かどうかが国民的議論となった。政府は「仮にハラルでなくても緊急時は接種しなければ害が大きい」(副大統領)と強調。ハラル認証を担うインドネシア・ウラマ評議会(MUI)も中国で製造工程を確認した上で「戒律に反しない」との見解を示した。

 同国では最近、新規感染者が連日1万人前後まで増加している。政府は接種を国民の義務とし「ワクチン接種は免疫を作る」「一緒に流行を抑え込もう」といった歌詞の歌も作って国民にアピールする一方、法務人権省副大臣は11日、接種を拒めば「最長1年の禁錮か最大1億ルピア(約73万円)の罰金が科せられる可能性がある」と述べた。

 一方、政府が大量に輸入したシノバック製ワクチンは、国内の治験で確認された効果は65・3%にとどまる。効果や安全性への懸念から、ジョコ氏が所属する闘争民主党の議員が接種を拒み、「罰金を払う方がいい。人権侵害で強制すべきではない」と声明を12日に出すなど足並みの乱れも出ている。(ジャカルタ=野上英文)

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