大手も悲鳴 外食産業に大打撃「宅配では補いきれない」
緊急事態宣言の対象が4都県から計11都府県に広がったことで、経済への影響も個人消費を中心に拡大する。新たな対象には大阪、名古屋、福岡の大都市圏が含まれ、国内人口に占める割合は3割から5割超になる。対象地域がさらに広がったり期間が長引いたりする懸念もぬぐえず、その場合、景気の下ぶれリスクは一層強まる。
外食大手の多くは、先行した4都県で実施している営業時間の短縮を新たな7府県に広げる方向だ。
全国で約70店を展開する和食レストラン「梅の花」は4都県を含む関東の16店で夜の営業を休止中。本社のある福岡県など新たな対象地域でも同様にする予定だ。
「外食自粛の動きは全国で広がっている。非常に厳しい」と担当者は話す。
客離れにあえぐ居酒屋チェーンでは、営業時間の短縮にとどめず、利益が見込めない店の休業に踏み込むところもある。
串カツ田中は4都県の約80店を休業しており、関西などで直営する25店も12日から休みにした。「閉店準備のため、宣言の前に決めた」と広報担当者は話す。
政府は、不要不急の外出自粛や出勤者の7割削減も4都県と同様に求める。
感染拡大を防ぐ観点に加え、夜の人出が少なくなることから、百貨店大手は新たな対象地域での対応を迫られている。高島屋は14日から当面、大阪店や京都店の営業時間を1時間短くし午後7時までとする。
宣言が先に出た首都圏でJR東日本が20日から当面の間、在来線の終電を最大約30分早めるなど、交通への影響は深まりつつある。
「人の動きが止まるということになれば、地域経済には大きな影響が出る」。全国地方銀行協会の大矢恭好会長(横浜銀行頭取)は13日に開いたオンライン会見でそう指摘した。
影響の広がりと深まりは日本経済を痛める。
大和総研はこれまで、4都県に1カ月間の緊急事態宣言が出ることで、実質GDP(国内総生産)が0・9兆円下がると試算していた。新たな7府県分をあわせると影響額は1・3兆円に膨らむとはじく。1~3月期の実質GDP成長率は前期比年率1・4%減と、3四半期ぶりのマイナス成長に陥るとみる。
政府は、宣言の期限である2月7日までに感染拡大を抑え込むことをめざすが、成否は見通せない。
大和総研シニアエコノミストの神田慶司氏は「最悪の場合には、昨春の緊急事態宣言時の経済状況に近づき、成長率のマイナス幅が2ケタになる可能性さえある」とみる。
1~3月期はマイナス成長が避けられない、との見方は専門家の間ではすでに大勢だった。
日本経済研究センターが13日公表した民間エコノミスト36人の予測平均は実質で年率マイナス0・99%。調査期間は12月25日~1月7日。宣言が11都府県に広がった影響は含まれていない。実際の数字は、さらに押し下げられる可能性が高い。(山本知弘、若井琢水、笠井哲也)
「恐ろしいのは大手がつぶれること」
緊急事態宣言の対象地域が…
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