研究室の段ボール開けてみたら…よみがえる昭和初期の森

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米山正寛
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 国土の3分の2を森林が占める日本。その約半分はスギやヒノキなどの人工林だ。それ以外の天然林も戦中や戦後に人の手が加わり、古い時代の姿は十分に知られていない。ところが、茨城県つくば市の森林総合研究所で、森林植生研究領域に長く保管されてきた20箱ほどの段ボール箱を開けたら……。

 話は3シーズン前の冬にさかのぼる。資料の保管場所が手狭になったこともあり、積み上げられたままだった箱を新山馨・研究専門員が中心になって整理し始めた。中身は古い植生調査の記録や図、写真などだった。その由来を調べていくと、1926年に当時の農林省山林局が「国有天然林調査方法」という冊子を発行して調査を指示し、作成された資料類だとわかった。

よみがえった90年前の天然林の姿

 指示は山林局が管轄した本州、四国、九州の6営林局へ出され、資料類は山林局とそれぞれの営林局に一部ずつ保管されたようだ。見つかったのは山林局へ提出され、戦後になって森林総研の前身に当たる林業試験場へ引き渡されたもの。その頃の林試は東京都内にあり、78年の筑波研究学園都市への移転に伴って現在の場所へ運ばれたらしい。資料の一部は戦後間もないころの研究に利用されていたが、いつしか存在自体が忘れられていった。

 「筑波移転の頃までは中身を…

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