水商売の時短で増える「パパ活」 コロナ対策の不公平感

有料記事アピタル編集長インタビュー

聞き手=朝日新聞アピタル編集長・岡崎明子
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 新型コロナウイルスの感染拡大により各地で緊急事態宣言が出され、午後8時以降の飲食店の時短営業が求められている。昨夏の第2波では、ホストクラブやキャバクラなどが「夜の街」と名指しされ、批判された。

 だが日本水商売協会代表理事として、歓楽街で働く人の相談に乗る甲賀香織さん(40)は、今回の要請に「従えない店があってもやむを得ない」という。なぜか。

 こうが・かおり 1980年生まれ。青山学院大学を卒業後、水商売にかかわる業界で起業しようと、銀座の高級クラブに入店。ナンバー1ホステスとなる。業界の底上げ・活性化を目指し、2018年に「日本水商売協会」を立ち上げた。

 ――接待を伴う飲食店は「営業してもいい」ということでしょうか。

 「いえ、反発心や開き直りで営業しても良いと言っているわけではないんです。でも、業界として必ず従うべきだと言ったときに、どういうことが起きるのか」

 「『やったもん勝ち』の店舗が出てきて、感染症対策という観点からみるとかえってマイナスな状況が起こりえるからです。一方で、感染対策をしたところは『やったもん損』になっています」

 ――「やったもん勝ち」とはどういうことですか。

 「いま開いているお店があると、要請に従って20時に閉めるお店のキャバクラのキャストやお客さまが、そこに流れてしまうんです」

 「また、『パパ活』や『ギャラ飲み』など、無店舗型の個人営業のような業態が盛んになったり、看板を消して営業するなど『闇営業』したりするところがでてきます。そういうお店は大にぎわいになりますが、密な上、クラスターが起きても店としての責任がない。よけいに無防備になりがちです」

 ――なるほど。では、「やったもん損」とは?

 「相当なお金と手間をかけて対策を行い、従業員やお客さまがマスクをつけているかどうかを毎晩チェックするようなお店がある一方で、『うち、そういうの気にしないんで』というお店も入り交じっています。でも、どちらも売り上げは変わらないのが現状です」

感染対策は無駄と学習

 ――安全な店にお客さんが流れるわけではないのですか。

 「いま、店にいらっしゃるお客さまは、感染症にそれほどナーバスではない方が多い。店側も貴重なお客さまなので、主導権をとって『マスクをつけて』とも言い出せない。なので、感染対策がさほど集客につながっていないんです」

 ――だから「やったもん損」だと。

 「現場は『何か特別なことをやっても、売り上げにはつながらない』ということを学習してしまいました。『だったら対策しなくてもいいのでは』という店舗もでてきて、悪循環に陥っています」

 「経営判断としてやむを得ないという事情も理解できますが、このような流れになったのは、政府が各店舗の感染対策を評価する仕組みをつくっていないことが一因だと思います」

ホストは9割5分営業

 ――実際、今回の要請は守られるでしょうか。

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 「歌舞伎町のホストさんは9…

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