集団感染で中傷も…手紙を励みに頂点に 天理大ラグビー

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佐藤祐生
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 新型コロナウイルスの集団感染という苦難を乗り越え、大学日本一の座をつかんだ。11日、東京・国立競技場であったラグビーの全国大学選手権決勝で、天理大早稲田大を55―28で破り、初優勝を遂げた。関西勢としては同志社大以来、36大会ぶりの頂点だ。

 「恩返しのため」。天理大の選手は一丸になっていた。開始早々の先制トライを皮切りに、2連覇を狙う早大を圧倒していった。

 天理大は前々回は準優勝し、1年前も4強に入った強豪だ。新型コロナの感染拡大による昨春の全国的な自粛期間が明け、練習を再開したのが6月。強度を上げ、実戦練習を増やす時期にさしかかっていた8月、クラスター(感染者集団)が起きた。

 感染は部員168人のうち62人にまで広がった。活動休止を余儀なくされ、寮は閉鎖され、夏合宿も中止になった。フランカーの松岡大和(やまと)主将は神戸市内の実家に戻った。「練習が出来ず、ものすごくつらい日々だった」

 心ない声が追い打ちをかけた。「寮内での鍋宴会が集団感染の原因」「天理大ラグビー部って全員バカだな」。SNS上にはデマや中傷があふれ、大学には謝罪を求める電話やメールが相次いだ。

 「しばらく(アルバイトの)出勤を見合わせてほしい」「(学生の)教育実習を中止にしてほしい」。部員ではない学生たちまでアルバイト先や教育実習の受け入れ先から差別的な扱いを受け、学長と天理市長が記者会見を開いて是正を訴える事態になった。

 支えになったのは、ファンやラグビースクールの子どもたちから届いた応援の手紙や動画だ。「お身体(からだ)の調子はいかがでしょうか」。夫が天理大の出身で兄がラグビーをしていたという女性は手紙をそう書きだした。「コロナのえいきょうで小学校は、行事がたくさんなくなりました。大変だと思いますが、がんばってください」。小学5年の児童は手紙に楕円(だえん)球のイラストを添えた。

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 「頑張っていける原動力にな…

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