バブル世代の幻冬舎のスター 退社後苦しんだ「ねば病」

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高津祐典
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 「バブル世代」をグーグル検索しようとすると、関連ワードに批判的な言葉がずらりと並ぶ。タクシーを1万円札を振って止めたといったエピソードを紹介しながら、現代との価値観の違いを強調するページも出てくる。

 出版社の幻冬舎に創業期から加わった山口ミルコさん(55)は、まさにバブル世代だ。経歴は輝かしい。さくらももこさんのエッセーや五木寛之さんの「大河の一滴」など、編集者としてベストセラーを何冊も手がけてきた。

 時代を築いた華々しいスター編集者――。でも、同世代の女性たちとの対話を織り込みながら、自身の会社人生を振り返った本「バブル」(光文社)を読むと、イメージは変わった。思わず「大変だったんですね」と問いかけると、山口さんは「一生懸命だったんですよね、バカみたい」と明るく、自嘲しながら笑った。

 バブル期に社会人になった「バブル世代」の山口さんは、世界の中心が「会社」だった。

 社会人になったのは30年前。保険会社に入社して、すぐ出版社にアルバイトとして転職する。その時、山口さんは後に幻冬舎を立ち上げる見城徹氏と出会った。作中では「ボス」とだけ呼ぶ彼を信じて、ひたすら働いた。正社員に推薦してくれたボスに「一生ついていく」と心に誓ったという。20年後に離別するとは思いもよらずに。

 「働き始めた頃は、親鳥とひな鳥。何を言われても、ボスを信じていました」

あることを機にボスとの離別を決意したという山口さん。みるみる減るお金。そして病。たどり着いた働き方とは--。

 使える予算は今とは桁違い…

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