「ママ、笑っていてね」17歳で前撮りした娘の振り袖姿

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熊井洋美
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 2018年2月24日。竹森夕海(ゆうみ)さんは、水色を基調としたあでやかな振り袖に身を包み、成人祝いの記念写真を撮った。

 17歳と4カ月。その年に成人式を迎えた姉の帆南さん(22)が、同じ着物に3カ月前に袖を通したばかりだ。もともとは祖母の高山松江さん(77)が、3人娘のために奮発して仕立てた一品だった。

 「なんで今なの?」。最初は乗り気でなかった夕海さんも、母親の重子さん(51)の勧めに「まあ、髪もせっかく伸びてるしな……」と納得した。写真スタジオでは、藤やバラの花を背景に大人びた表情を見せた。

3度目の再発

 当時、重子さんと父親の征之さん(50)は担当医から、夕海さんの急性リンパ性白血病の3度目の再発を言い渡された直後だった。

 2度目の再発から2年余り。病気はおさまっていたのに。一家はうちひしがれた。

 このころ、重子さんは、スーパーで調味料を手にとって賞味期限を目にするたびに、「その時点の自分は笑っているのかな」と自問していた。

 この先、夕海さんは抗がん剤の副作用でまた髪が抜けたり、顔がむくんだりするかもしれない。まだ動ける今のうちに、可愛らしい姿を記録に残しておきたかった。

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 写真スタジオがある呉服店に…

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