「社会も医療も甘かった」医療逼迫は続く、西村秀一医師

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聞き手=今直也
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 首都圏1都3県への緊急事態宣言が正式に決まった。飲食店の営業時間が午後8時までに短縮されるが、本当に効果はあるのか。国立病院機構仙台医療センターの西村秀一ウイルスセンター長は「おそらく感染者数は減らないだろう」と指摘する。なぜか。

「過去最高」とあおりすぎ

 ――感染拡大が止まりません。

 「確かに増えているけど、ぐわっと上がっている状況ではない。ちょっとマスコミがあおりすぎだよ。過去最高って、当たり前じゃない。冬なんだから」

 ――冬としては抑えられていると。

 「みんなが少しずつ行動をセーブしているから、冬の季節にしては、上がりを抑えられているんじゃないかな。完全に下げなければいけないのか、ジワジワ上がるのは許せるのか。許容範囲を決めないと」

 ――飲食店への規制が強化されます。

 「確かに会食や飲み会で感染者数が増えているが、今、緊急事態宣言を出してまで、人の行動を制限する必要があるのか。本当にそれをやったからといって、感染者数が落ちてくるかどうか。たぶん、ほかの何かが一緒じゃないと落ちてこないと思うよ」

宣言出すことの意味は

 ――緊急事態宣言を出すことで、時短要請もより強いメッセージとなります。

 「飲食店はクラスターなどが起きて、目に見えてわかりやすいから、ということだよね。でも、何週間か続けてみて、感染者数が減らなかったらさらに続けるのか。あまり有効じゃないとやめるのか。政府はその辺を最初に考えておかないとだめでしょう。さらに、宣言に『共助』のメッセージもあったらいいと思う」

 ――危機意識が出て、行動も変わるかもしれません。

 「これだけ『医療が逼迫(ひっぱく)している』と新聞もテレビも報じているんだから、危機意識は伝わっているでしょう。感染したくないと大勢が我慢しているから、今ぐらいで収まっていると思う」

 「人間には多様性がある。この感染症への向き合い方だって、若者には若者の考え方があって、年寄りには年寄りの考えがある。作られた規制に、従う人は従うし、従いたくない人もいる。それでも動いていける社会がいいんじゃないの」

 ――「ロックダウン都市封鎖)」までいくのは、やりすぎだと。

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 「飲食店だって、感染対策を…

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