住所さらして「会いに来い」 移民ラッパー、挑発の裏に

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聞き手 編集委員・塩倉裕
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 文句あるやつらは会いに来い――自身の住所をアパート名まで明かしながらそう叫ぶヒップホップの曲で注目された韓国人の留学生がいる。大阪在住のラッパー、モーメント・ジューンさん(29)だ。近くて遠い国と言われる韓国と日本のはざまで、日本語での発信を続ける。自身に差別を向けてくる社会をなぜ挑発したのか。

Moment Joon

 1991年、韓国生まれ。2010年から大阪大学に留学し、現在は大学院(音楽学)。新アルバム「Passport&Garcon」。

 ――日本に来て10年ですね。韓国の高校を卒業後、19歳で来日しました。なぜ日本に来る選択を?

 「韓国から逃げるためです。いい大学に行かなければ人間扱いされない学歴偏重社会で、僕の父もそう考える人でした。好きな音楽を諦めずに大学には行く、それには留学しかないと考えました」

 ――英語でも韓国語でもなく、日本語でヒップホップ音楽を発信していますね。自らが受けた韓国人差別の経験を歌ったり、自身の繊細なアイデンティティーの問題を内省したり、日本社会の「常識」にノーを突きつけたり……。

 「自分のすべてをさらけ出すことを心がけています。メッセージではなく自身の日常の物語を歌っているつもりなのですが、『政治性の強いラッパー』とか『差別と闘うファイター』と見られることが少なくありませんでした」

 「政治的だと特別視されるたびに、みんなは現実の日本から離れて生きているのかな、と疑問を感じます。日本では、政治という言葉が日常生活から離れ過ぎているのではないでしょうか」

攻撃されるより怖いこと

 ――日本で体験した差別は、たとえばどういうものですか。

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 「韓国人のくせに生意気だと…

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