栃木の「イチゴの神様」 脱サラ、農と生きる喜びを粒に

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中村尚徳
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 「イチゴの神様」

 宇都宮市で農業法人を営む野口圭吾さん(58)は、すご腕の料理人たちからそう呼ばれている。

 国内最高峰のホテル総料理長、テレビ番組で名を知られた「フレンチの鉄人」。名だたる人たちが品質の高さにほれ込む。

 市内4カ所、計85アールで育てている。香りが強く、深紅のガラス細工のように光沢がある。ほおばると、しっかりとした食べ応え。みずみずしさ、甘さ、酸味が広がる。

 1999年に移住した。それまで首都圏でコンピューターのシステム開発などを手がけていた。農業とは無縁な環境で育った。未知の世界に飛び込む源泉は小学生のころの思いにある。

 「人間とライオンの絆を描いた映画『野生のエルザ』(66年)を見て、動物や自然とふれあって生きたい、とあこがれたんです」

 最初は酪農家をめざした。東京農業大畜産学科で学んだ。卒業生の農場を見学し、泊まり込みの実習も経験した。だが、そこで現実を知る。「初期投資は最低でも数億円」「婿養子に入らなければ無理」――。夢はしぼんでいった。

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 80年代半ばにも「新規就農…

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