第1回助けての洪水、24時間受け止める 孤独を知る僕だから

有料記事この声、届いてますか

編集委員・秋山訓子
【動画】コロナ禍で24時間365日のチャット人生相談を始めた大空幸星さん=長島一浩撮影

新型コロナは、人々の暮らしを変えました。苦境に立つ人たちをどう支えるか。声は政治に届いているのでしょうか。シリーズで考えます。

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 生きづらさを抱えている。日々苦しい。でも、相談できる人がいない。そんな孤独を、24時間365日のチャット相談が受け止め続けている。

あなたのいばしょ

 「生きる意味がみつからない。死にたい」

 「今から路上ライブ活動です。応援してほしくて」

 昨年12月の週末、午前0時過ぎ。パソコンの画面に次々と文字が現れてくる。

 大空幸星(こうき)さん(22)が返事を打ち込んでいく。「相談は特に深夜が多いです」

 慶応大学3年生の大空さんは昨年3月、24時間365日、ネット上のチャットで悩み相談に応じる「あなたのいばしょ」を友人と2人で始めた。初日に40件の相談が。これは大変、とボランティアの募集サイトでカウンセラーを募り始めた。時差を使って24時間対応ができるよう、海外在住の日本人にも呼びかけた。

 新型コロナウイルス感染症が日本でも広がり始め、安倍晋三首相(当時)が「一斉休校」を要請した直後。相談は急増した。

 「家で虐待を受けているから外に出たいが、学校も図書館も閉まっていて行き場がない」「コロナで仕事がなくなった」

 昨年末までに相談を寄せた人は、2万5千人を超えた。対応するカウンセラーも研修中を含めると、米英仏、カンボジアなど世界19カ国に住む800人に膨らんだ。メンバーには、臨床心理士や大学教員ら「プロ」も多数含まれている。

「孤独」を政策課題にする国があります。日本はどうでしょうか。記者の解説と、大空さんのインタビューを記事の後半で。

絶望、そして救いの手

 この取り組みを始めたのは、自らの生い立ちが深く関係している。

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 松山市出身。両親と弟の4人…

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