中国とEU、投資協定で基本合意 人権問題脇に経済優先

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北京=西山明宏 ブリュッセル=青田秀樹 ベルリン=野島淳
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 欧州連合(EU)と中国の首脳が30日、オンライン会議方式で会談し、互いの市場に企業が参入しやすくなる投資協定で基本合意した。米国の政権交代を前にEUとの関係を強化しておきたい中国と、成長を続ける中国経済の取り込みを目ざすEUの思惑が一致した。人権問題では両者の溝が深く、EU内から批判が出る可能性もある。

 協定では、中国政府が自国企業に出す補助金に問題がないかを点検したり、中国側が求める技術移転に歯止めをかけたりする仕組みを想定。そのうえで自動車やエネルギーなどの分野で相互の市場参入の拡大につなげる。また中国側は、労働者の権利保護に取り組むと約束したという。

 EU側では欧州議会の承認も含め、協定発効までに数カ月から1年単位の時間がかかる見通しだ。

 交渉は2014年に始まってから難航が続いたが、6月からこの年末までEUの回り持ち議長国を務め、自動車をはじめ中国市場で稼ぐドイツが交渉妥結を急いでいた。コロナ禍からの経済回復を目指し、再び成長軌道にある中国との経済関係の強化を優先した。

 EUはこれまで、中国を「統治システムが異なるライバル」と位置づけるとともに、香港や新疆ウイグル自治区などでの人権抑圧をめぐり、繰り返し懸念を表明してきた。だが、こうした問題を脇に置き、投資協定を急いだ形となった。欧州議会のビュティコファ議員(緑の党)は独紙に「ドイツは自国の自動車産業が再び利益を得るために、他の全ての問題をないがしろにしている」と非難した。

米新政権の発足前、急ぐ中国

 中国側は、習近平(シーチンピン)国家主席が9日、マクロン仏大統領との電話会談で「投資協定交渉の妥結を急ぎ、中国とEUの関係を新たな段階に進めなければならない」と指摘。23日には李克強(リーコーチアン)首相がスペインオランダ両首相と電話で会談し、早期妥結の姿勢を示していた。

 対立してきた米国のバイデン

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