第1回原発事故は人類の悲劇、まだ終わってない 坂本龍一さん

有料記事私は忘れない

聞き手・構成 小森敦司
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 東京電力福島第一原発事故の前から脱原発の活動を続けてきた世界的ミュージシャン、坂本龍一さん。アーティストは危険を察知し、人々に知らせる「炭鉱のカナリア」のような存在だと思っているそうです。「組織に属さない自由業なので、語る責任がある」とも。その言葉どおり、これまで原発や地球温暖化といった問題で、ためらわずに発言し、行動してきたことを私たちは知っています。今回、インタビューに応じたのも、「原発事故は全然、終わっていない」と語りたかったといいます。

 ――坂本さんにとっても、あの原発事故はショックだったんですね。

【連載】私は忘れない

 私は忘れない――東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から2021年3月で10年。いまも原発事故に絡んで発信を続ける著名人がいます。何を訴えているのか。理由はどこに。それぞれの思いを聞きました。

 「まさか、と。(原子炉の建屋が)三つも爆発するとは……。僕らの世代だと、1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故が記憶から薄れないでいましたが、それと同じようなことが自分の国で起きてしまった。

 10年近くが経った今でも、溶け落ちた核燃料の状態がよくわかっていないですよね。ロボットを送り込んでも強い放射線ですぐに壊れてしまうといいます。人類の悲劇です」

 ――事故当時、レコーディングのため東京に滞在していたそうですね。

 「危ないと思って、(甲状腺を守る)ヨード剤を買おうと薬局に走ったけど、まったくない。知り合いの医師に聞くと政府が確保しているという。

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 で、やはり自分たちも西の方…

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