細る年末年始の診療態勢 コロナ患者の病床確保に限界も

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多鹿ちなみ 月舘彩子 姫野直行 山中由睦
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 新型コロナウイルスの感染が続くなかで年末年始を迎えることになり、自治体関係者らが警戒を強めている。休診する医療機関が増え、例年でも受け入れ態勢が手薄になるためだ。もともと病床の逼迫(ひっぱく)が続く大阪府では、綱渡りの状況が続く。

 年間5千件の救急搬送を受け入れる地域の基幹病院である大阪市北区の加納総合病院。年末年始は周辺にある多くの医療機関が休む一方で、心筋梗塞(こうそく)などの患者が多く、例年でも12月と1月が救急搬送される患者のピークだ。そこへ今年はコロナ対応が加わり、加納繁照理事長は「寒くて乾燥しており、感染は拡大している。スタッフの負担が課題だ」と心配する。

 病院では19床で軽症・中等症の患者を受け入れ、20人超のスタッフが対応する。10月には患者と職員計10人がコロナに感染して病床を閉鎖した経緯もある。再び感染が起きれば周りの医療機関にしわ寄せがいくため、細心の注意を払う。

 一般の外来もこの時期は増えるため、出勤するスタッフを増やして対応にあたるが、限界はある。加納理事長は「お正月は国民も辛抱してほしい」と述べ、感染症対策を強めるよう呼びかけている。

 医療体制が手薄にならないよう、自治体は協力金などを用意してきた。大阪府は12月29日から1月3日に患者を受け入れた場合、1人につき20万円の協力金を支払う。大阪市も新たにコロナ専用病床を設けた病院に、1床あたり1千万円の協力金を支給することを決めた。これらに応じた形で、年末までに30床程度が増えることになった。

 重症患者を受け入れる府内23病院のうち、日中で9割超、時間外や深夜でも7割の病院が新規患者を受け入れられる態勢となったという。軽症・中等症の72病院も日中で7割以上、時間外や深夜で4~6割が対応する。吉村洋文知事は「医療従事者にも年末年始があるので手薄になる。受け入れという部分で厳しくなる」と危機感を示している。(多鹿ちなみ)

厚労省も24時間態勢の維持を要請

 厚生労働省は年末年始の医療体制について、都道府県に通知を出した。新型コロナの検査や診療ができる場所を紹介する電話窓口については、24時間対応が可能となる体制を年末年始も維持。人員や電話回線を増やすなどし、必要に応じて体制の強化を検討する。

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 新型コロナの疑いがある患者…

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