第8回「本物の食、自然が教える」伝統を広める元公務員の決意

有料記事食の向こうに 世界を味わう

オレンジ〈豪南東部〉=小暮哲夫
【動画】先住民の伝統食材や食文化を引き継ぐツアー@オーストラリア=アキナ・ハンセン撮影
[PR]

 小さな円筒形の果物を割ると、中から小さな粒がいっぱいの実が現れた。

 「これは、フィンガーライム。『森のキャビア』とも呼ばれます」

 確かに、小さな粒はキャビアを想像させる。

 「どうぞ、食べてみて」

 「うわあ、これはおいしい」。手を伸ばした人々に笑顔が広がった。プチプチした食感、柔らかな甘みに酸味と苦み。さわやかな風味が口に広がる。

 シドニーから西に200キロ余りのオーストラリア南東部オレンジ。先住民(アボリジナルピープル)のジェラルド・パワーさん(59)が催している「ブッシュタッカー(森の食材)」のミニツアーのひとこまだ。

 案内する小さな菜園では、先住民が昔から食べてきた豪州原産の植物が栽培されている。「葉を採って半分に割ってみて」。レモンマートルという低木の細長い葉を折ってみると、その名の通り、レモンのような香りが一気にはじけた。「葉っぱなのに97%がかんきつ成分。ビタミンCたっぷりです」

ここから続き

 「これはクック船長が注目し…

この記事は有料記事です。残り1773文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら