映画「鬼滅」ヒットの理由 知らない人を巻き込む作品力

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小原篤 小峰健二
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 「全集中」という作中のセリフまで流行したアニメ「鬼滅の刃」。人気漫画を原作とし、深夜帯で昨年放送されブレーク。公開中の「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が映画歴代興行収入の最高記録を達成し、「千と千尋の神隠し」という国民的ヒット作を抜き去った。その理由を読み解く。

 家族を鬼に殺され、生き残った妹も鬼にされてしまった少年炭治郎が、妹を人間に戻すため鬼と闘う物語。東宝の市川南常務は15日にあった会見で、ヒットの理由を「何より作品が素晴らしい。アニメの映像クオリティーが高く、友情や家族愛のドラマが日本人の琴線に触れた」と語った。

 「コロナ禍の巣ごもり生活で、原作漫画や(配信で)アニメに触れる人が増えた。洋画の大作が公開延期されたために『鬼滅』がスクリーンを最大限に確保できたことも大きい」

 実際、東京のTOHOシネマズ新宿では初日に12スクリーンのうち11を使い計42回(深夜含む)上映。他の都市部でも1日30回超上映するシネコンがあり、「鬼滅」が映画館をジャックする形になった。ちょうどコロナ対策の席数制限をやめたタイミングで、映画館側の期待も観客側の「映画が見たい」という欲求も高まっていた。

ニュース飾る数々の記録破り

 映画ジャーナリストの大高宏雄さんは「シネコンは需要に応じて上映を柔軟かつ大胆に増やせる。『千と千尋』の大ヒットもシネコンの力があった。同じ宮崎駿監督の『もののけ姫』=1997年、興収201・8億円=も、当時シネコンが普及していたらもっと数字が伸びただろう」。

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 上映回数の多さや初週の記録…

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