台湾学生、香港国安法は自分事 「将来を映す鏡だから」
香港国家安全維持法(国安法)は台湾の人々にとって、「中国の脅威」を見つめ直す機会になった。若者たちはリアルタイムで触れる香港情勢を「自分事」とみて、政治意識を高めてきた。中国が香港に適用した「一国二制度」に対する台湾世論の不信を、各政党とも無視できなくなっている。(台北=石田耕一郎)
台北中心部にある台北駅そばの貸会議室で、11月下旬、ある勉強会が開かれていた。台湾大の学生サークル「香港研究社」が、香港に留学経験のある人権団体のメンバーを講師に招いた国安法の勉強会だ。社会人を含む約30人の参加者は同法の解説を聞いた後、台湾への影響などを質問した。同団体は9月以降、台湾各地に香港絡みで講師を計6回派遣したとしている。
サークルの代表を務める台湾大2年の20代女性は「香港の動向は台湾の将来を映す鏡だから」と活動の理由を語る。女性は中学時代、国民党の馬英九(マーインチウ)政権が進めた対中接近に反発する台湾の「ひまわり学生運動」(2014年)や、香港で学生らが民主的選挙を求めた「雨傘運動」(同)を見て、政治や社会問題に興味を抱いた。
大学進学後に香港に留学したが、デモの激化を受けて帰郷。「香港の役に立ちたい」と考え、8月に同級生らとサークルを作った。高校生と香港に関連する書籍を読んで議論する「読書会」など、若者世代への啓発を活動の中心に据える。
女性によると、10回ほどの…
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