第2回「オレとは別の苦労をしろ」 国産チーズ先駆者の教え

有料記事ワイン&チーズ新時代

片山健志
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ワイン&チーズ新時代

 北海道・十勝と聞いてイメージする風景と、そのチーズ工房がある場所はちょっと違うかもしれない。十勝平野の北西に位置する新得(しんとく)町の「共働学舎新得農場」は、小高い山の中腹からすそ野にかけて、森に囲まれた斜面にある。

 1978年、米国の大学で酪農を学んだ宮嶋望さん(69)が起こし、いまも代表を務める新得農場は、日本のナチュラルチーズ作りの草分けのひとつとして国内外で高い評価を受けてきた。同時に、チーズ職人として独り立ちをめざす若者たちの「学びや」となって、多くの作り手を送り出し続けている。

 いったい、どんな農場なのだろう。

 2020年12月1日、東京・新宿。国産ナチュラルチーズのナンバーワンを決める2年に1度のコンテスト「ジャパンチーズアワード2020」が開かれた。主催するNPO法人チーズプロフェッショナル協会は00年の設立から20年の節目の年だった。

 「協会の最初のメンバーで、忘れてはいけない人がいます」

 冒頭、本間るみ子会長はそう言って、宮嶋さんの名を挙げた。チーズの本場の欧州各国で回り持ちで開かれる国際コンテスト「山のチーズオリンピック」で04年、新得農場の「さくら」が日本産チーズとして初めてグランプリと金賞を受けたことを紹介した。

 「日本のチーズが世界へ一歩、踏み出したのです」

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 「共働学舎」は宮嶋さんの父…

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