国民の怒り爆発、デモ続くベラルーシ 首都で記者は見た

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ミンスク=喜田尚
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 欧米から「欧州最後の独裁者」と呼ばれるルカシェンコ大統領による強権体制が続く旧ソ連ベラルーシで、8月の大統領選を機に始まった抗議デモが今もやまない。当局の弾圧が激化する中、首都ミンスクに記者が入った。

突然聞こえた「ジベ ベラルーシ」

 足元の雪は凍結し、霧で遠くがかすむ。

 20日正午過ぎ、中心部から数キロ離れた高層アパートの中庭を訪れると、200~300メートル四方の冬枯れの木立のそばに、1人でたたずむ人もいれば数人で談笑する人もいた。普段と変わらぬ光景だが、40分ほど経つと人影が増え、ただならぬ雰囲気が漂い始めた。

 突然誰か叫んだ。「ジベ(生きろ)ベラルーシ!」

 間を置き、同じかけ声が別々の場所から次々と響く。「合言葉」で互いの意思を確かめ合うと、バラバラに離れていた人々が一斉に同じ方向に歩き出した。

 公園を出ると、人々は隠し持っていた赤と白の旗を掲げた。1991年にソ連から独立した当時の国旗。「ジベ!」のかけ声と旧国旗は、94年から政権につくルカシェンコ氏への抵抗のシンボルだ。

 ベラルーシでは、8月9日の大統領選でルカシェンコ氏の得票率80%での圧勝が発表された。だが、人々は選挙結果が操作されたとし、抗議デモが全国に広がった。同国の人口は約950万。200万弱のミンスクで、日曜ごとに数万から十数万人のデモが数カ月続いた。

 異例の事態に、政権のデモ弾圧も激しさを増した。治安部隊を大量動員して通りを封鎖。デモ隊に放水や音響閃光(せんこう)弾を浴びせ、11月には全国の日曜デモで拘束者が1日千人を超える日が続いた。デモを取材するジャーナリストも標的にされ、無差別に拘束された。

 反政権派は同月末、都心での大規模デモ呼びかけをやめ、数十~数百人規模のデモを同時多発的に行う方針に変えた。当局の注意を分散させ、抗議が力で抑えられるのを防ぐためだ。

飛び出したヘルメットの警官隊

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 記者が目撃したのは、この日…

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