戸籍ない女性、自宅で餓死 息子も衰弱「水と塩だけで」

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山本逸生 添田樹紀 古田寛也 野崎智也
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 大阪府高石市の住宅で9月、高齢の女性が餓死し、同居していた息子も衰弱した状態で見つかった。親子には戸籍がなく、息子は周囲に「生活費が底をつき、水と塩だけで生きていた」と語ったという。親子に何があったのか。なぜ周囲は気づくことができなかったのか。

 呼び鈴が鳴り、自治会長の70代男性が玄関に出ると、引っ越したはずの近所の高齢女性の息子が立っていた。「警察に電話して下さい」と言われ、事情がのみ込めずに聞き返すと、「母が亡くなりました」。驚いた自治会長は、裸足のまま女性宅に駆けつけた。室内のベッドの上に、やせ細った女性が横たわっていた。

 9月22日、秋分の日の朝のことだ。現場は、堺市の南側に隣接する高石市内の住宅密集地。大阪府警の司法解剖では、女性は死後数日とされ、死因は栄養不足による餓死とわかった。息子も衰弱しており、入院したが、命に別条はなかったという。

 関係者によると、息子の説明から、生活の状況が少しずつ見えてきた。「8月の終わりごろから、食費や食材に困るようになった。水と塩で何とかつないでいた」。さらに「戸籍がないので、救急車を呼んだり、市役所に相談したり、助けを求めにくかった」と明かしたという。

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