第6回ベネチアの水が透明に コロナ禍に浮き出た人間の身勝手

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ベネチア=河原田慎一 奈良部健 北京=高田正幸 水戸部六美 阿部朋美 合田禄 石井徹
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 係留されたゴンドラが、流れにもてあそばれるように激しく揺れ始めた。運河から水があふれ出し、ひたひたと迫ってくる。石畳の広場はあっという間に水に覆われ、市民らが渡し板の上を足早に行き交う。12月1日、イタリアの「水の都」ではこの日も例年の光景が繰り返された。

 世界的な観光地ベネチア。世界遺産のこの街が近年、相次ぐ高潮の被害に見舞われている。地球規模の温暖化の影響で冬場の高潮の頻度が増え、20年前には数年に1度だった大規模な浸水が、1年に何度も起きるようになった。

 家や店の入り口に防潮板を立てても水が入り込み、大理石でできた歴史的建造物が塩害で内部から崩れていく。40年前に約10万人だった旧市街の人口は、約5万人にまで減った。

 「自然環境を壊さずに、未来にどうベネチアを残すか。いま手を打たなければ街は死んでしまう」。ルイジ・ブルニャーロ市長(59)は危機感を強める。

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 高潮被害だけではない。年に…

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