「あっち側の人」だって同じ人間 森達也さんの思考回路

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聞き手 編集委員・塩倉裕
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 「ああ、あっち側の人ね」。相手の立場や主張に距離を感じたとき、そんな言葉が浮かびがちです。でもそのとき「こっち側」とはどんな場所なのでしょう? あっち側と名指しされた人たちと多く向き合ってきた映画監督・作家の森達也さんが語ります。

 誰かが誰かを「あっち側の人」だとみなす。その例として僕が思い出すことの一つは、2001年に起きた9・11同時多発テロ事件です。

 1956年生まれ。オウム真理教に迫ったドキュメンタリー映画「A」「A2」などで知られる。近著「U」。

 あのとき、航空機を乗っ取って米国の巨大ビルに自爆攻撃したのは狂信的なイスラム過激派の男たちでした。突撃の直前「神は偉大なり」と叫んだに違いない――聞いたわけでもないのに、多くの人々がそんなイメージを共有しました。「無差別殺人を正義と信じる残虐で冷酷な男たち」とのイメージです。

 でも、彼らは最期に「お母さん」と叫んだ可能性もある。僕はそう想像しました。人ってそういう存在でもある、と思うのです。

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 あっち側呼ばわりをされる代…

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