1枚の写真で人気俳優から転落 炎上の裏に中東の歴史

有料記事特派員リポート

カイロ=北川学
[PR]

 国民のスターは、一転して「裏切り者」に――。エジプトの人気俳優が、イスラエルの歌手やサッカー選手と写真を撮ったことで、自国で激しい非難にさらされた。両国は1979年に国交を樹立している。にもかかわらず、エジプト国民がイスラエルに向けるまなざしは依然として厳しい。

 黒いサングラスをかけた男性が、隣の男性の肩に腕を回して笑っている。その説明文は「芸術はいつも我々を一つにする」。お互いにリラックスした、いい表情だ。撮った方も撮られた方も、悪意はなかっただろう。この写真が問題になってしまった。

 サングラスの男性は、エジプトの俳優ムハンマド・ラマダンさん(32)。人気のテレビドラマや映画に数多く出演し、ポップ歌手としても活躍。エジプトで「知らない人はいない」と言われる超有名人で、ファンは若者を中心に中東全域にいる。ラマダンさんのフェイスブックのページには約1500万人が登録している。

 ラマダンさんは2020年11月、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイを訪れた。その際、イスラエルから来ていた歌手やサッカー選手と写真撮影に応じた。うち2枚を、UAEのジャーナリストツイッターに投稿。インターネット上で拡散が始まり、イスラエル政府がアラビア語で発信するフェイスブックのページにも転載された。

ここから続き

 写真を見た人々から非難の声…

この記事は有料記事です。残り2065文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら