ロシアのプーチン大統領が内外の記者の質問に数時間にわたって答える「大記者会見」は年末恒例の行事だ。緊張する欧米との関係、世界が注目する自身の進退、日ロ平和条約交渉の行方など、知りたいことは山ほどある。約20年にわたって国を率いるプーチン氏の考えをできるだけ近くで聞こうと、通算16回目となる会見を取材した。
英記者に詰め寄る場面も
今年の大記者会見が行われたのは17日。毎年数時間に及び、今回は4時間29分、約70問の質問に答えた。例年はモスクワのホールで開催され、普段は実際に姿を見ることも難しいプーチン氏に質問しようと、全国から集まる千人以上の記者がプラカードなどを掲げて指名権を競い合う。私も、モスクワに着任した2018年から毎年会場で取材している。
たが今年は、そんなお祭り騒ぎにも新型コロナウイルスが大きく影を落とした。会場にはプーチン氏は現れず、記者は全国に用意された会場のスクリーン越しにプーチン氏と対面する初めてのオンライン形式に。質問もコロナ禍で傷ついた経済や国民生活の支援などが中心で、例年とは打って変わって物静かな展開となった。
そんな大記者会見でプーチン氏が特に強調したことの一つが、「外国の脅威」だった。欧米への強い対抗姿勢とともに、ロシアの正当性を何度も主張した。
来年2月に失効期限が迫る新戦略兵器削減条約(新START)など、米ロの軍縮条約の破綻(はたん)の原因は米国にあるとし、「攻撃的なのは誰の方だ?」と非難。来年のロシア下院選には、「間違いなく(欧米が)介入しようとする」と述べ、「我々は抵抗する義務がある」と強調した。
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