変異種、英国のクリスマス直撃 港でトラックが立ち往生
強力な感染力を持つとされる新型コロナウイルスの変異種に英国が揺れている。欧州各国が入国を遮断し、物流の要の英ドーバー港には行き場を失ったトラックが滞留。モノが届かなくなる不安が市民に広がる。欧州連合(EU)離脱後の移行期間終了が年末に迫るなか、拍車がかかる混乱にジョンソン政権への批判の声も向けられている。
21日、ドーバー港の入り口には「フランス国境閉鎖」の電光板が立てられ、封鎖した道路の前に係員が立っていた。周辺の道路脇には、大型トラックが長い列を作っていた。
「今晩ドーバーを出発する予定だったが、いつ出られるか分からない」。大型冷凍車の運転手ムラデン・チズミックさん(50)は途方に暮れる。積み荷はクリスマス向けのアイスクリーム。クロアチアに運ぶはずが「納入に間に合うだろうか」と不安げに話した。
変異種のフランス国内への流入に歯止めをかけるため、仏政府が入国を止めたのは21日午前0時。事実上のロックダウン中でホテルも飲食店も開いていない街に、多くのトラックが取り残された。9人が乗るワゴン車で夜を明かしたルーマニアの建設作業員は、「今後どうなるのか、とにかく情報が欲しい」と疲れた表情だった。仏経由で帰宅する予定だったという。
一方、イタリアからおもちゃなどの積み荷をロンドン郊外に届け、ポーランドの自宅に戻る途中だったラトカ・スラボミルさん(35)は「混乱はウイルスのせいではなく、EUを離脱した英国へのフランスからのいやがらせでは。腹立たしいし疲れた」と話した。
今年はすでに、年末の繁忙期…
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