五輪経費「数字遊びに過ぎない」 なぜ膨らみ続ける?

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岡戸佑樹
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 来夏に延期された東京オリンピック(五輪)・パラリンピックの大会組織委員会は22日、総額1兆6440億円(前年比2940億円増)とする予算を公表した。

 ただ、この額で大会が開ける、と思うのは早計だ。複数の大会関係者は、五輪の経費についてこう語る。

 「どう切り取るかで、大きくも、小さくも見える。数字遊びに過ぎない」

 どういうことか。

 この日公表された予算は「国、東京都、大会組織委員会が、運営に直接必要と判断した経費の合計」だ。大会を開くにはこれだけで済む、というわけではない。

 「大会のためになるけど、その後の市民生活にも生かせるし、社会全体のコロナ対策にも生かせる」経費は、「関連経費」として、この日の予算には入っていないのだ。

 たとえば、政府が15日に閣議決定した第3次補正予算案では、ホストタウンでの新型コロナ対策費(127億円)や国立競技場などの感染対策(20億円)など計約250億円は別枠扱いだ。都が担う最寄り駅から競技会場までの感染対策費も同様だ。

 この点について、会計検査院は、昨年12月に「国はすでに関連経費を含めて1兆600億円を支出した」と指摘。都も今年1月に「関連経費は7770億円」と発表している。これらの額を合わせると、大会経費は3兆円を超える。

 開催経費は招致当時、総額7340億円とされていた。「45億ドルを銀行にキャッシュで預けてある」。2013年の大会招致時、開催経費をめぐり、東京都の猪瀬直樹知事(当時)は繰り返し語り、お金があることをアピールしていた。

 しかしこれは、経費を安く見せるために、見積もりが甘く、会場周辺の道路整備費など、そもそも見積もりに含んでいないものまであった。

 さらに、今回の予算はコロナ禍の収束が見通せない中で編成されている。ある都幹部は「いまのコロナ対策費は『仮置き』でしかない。さらなる負担が求められることも考えられるのではないか」と語る。

 大きな山場は、観客の入場制限を設けるかどうかの判断をする来春だ。

 組織委は900億円のチケット収入を見込むが、大会関係者からは「今の感染状況が続けば、フルスタジアムは難しいのでは」との声も漏れる。観客を間引くと組織委の収入が減り、より多くの公金が投入される可能性がある。

 そもそも、ある大会関係者は…

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