第22回存在感なく「目に付く」 湾岸のトラウマ、圧力の源流

有料記事外交文書は語る 2020

編集委員・藤田直央
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 開戦が迫る。日本はどうする――。冷戦終結直後の世界を揺るがした湾岸戦争に向け、米副大統領が日本の首相に「目に見えるプレゼンス(存在感)」を迫る様子が、外務省が23日に公開した外交文書に記されていた。米国の意向に沿えなかった「湾岸のトラウマ」は後の自衛隊の海外派遣につながるが、その源流にあたる重要なやり取りだ。

 当時の海部俊樹首相に迫ったのはブッシュ政権のクエール副大統領。平成2年にあたる1990年11月に即位の礼で来日し、会談した。「極秘 無期限」の会談録によれば、イラクが同年8月にクウェートに侵攻した湾岸危機への対応で、クエール氏は「大統領の指示」として米国が戦争に備える直近の動きを明かした。

 大統領のペルシャ湾岸への米軍増派表明は「(イラク大統領の)フセインにさらに圧力を加えるためだ」と述べ、国務長官の中東、ソ連、フランス歴訪で「武力を使わざるを得ない事態に至った際に深刻な反対が出ないことを確認しえた」と説明した。

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 その上で日本の協力について…

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