中間貯蔵施設、電事連が共同利用検討を表明 地元は反発

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伊藤弘毅 桜井林太郎 橋本拓樹 野口陽 伊東大治 林義則 室矢英樹
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 原発の使用済み核燃料を一時保管する青森県むつ市の中間貯蔵施設について、大手電力10社でつくる電気事業連合会は17日、原発を持つ各社で共同利用する方向で検討する方針を正式に発表した。電事連の池辺和弘会長(九州電力社長)が同日、梶山弘志経済産業相に報告し、梶山氏も協力する意向を示した。だが、地元の反発もあり、実現するかどうかは不透明だ。

 この日、梶山氏と経産省で面会した池辺氏は、共同利用案について、使用済み核燃料の貯蔵場所の「選択肢を広げる点で有効だ」などと説明。18日に地元の青森県とむつ市に幹部を派遣し、説明する考えを示した。梶山氏は「国としても地元の理解が得られるよう、主体的に取り組んでいく」と、実現を後押ししていくことを約束した。

 この施設は、東京電力ホールディングスと日本原子力発電が共同で出資する「リサイクル燃料貯蔵(RFS)」が運営する「リサイクル燃料備蓄センター」。来年度の操業開始をめざし、両社の使用済み燃料を受け入れる予定だったが、電事連では今後、RFSに各社が利用料を払うことなどで、共同で使えるようにする方向で検討していく考えだ。

 この案には、老朽原発を再稼働させる条件として、福井県から中間貯蔵施設の県外候補地を年内に示すよう求められていた関西電力を支援する狙いがある。ただ、むつ市はすでに反発している。池辺氏は17日、報道陣に「地元にきちんと説明し、検討に着手させていただきたい」と、調整を続ける考えを示した。伊藤弘毅、桜井林太郎)

 原発の使用済み核燃料を一時保管する青森県むつ市の中間貯蔵施設の共同利用案が浮上した背景には、老朽原発の再稼働を進めたい関西電力など電力大手と経済産業省の思惑がある。だが、実現のかぎを握る地元のむつ市は反発する姿勢をみせており、今後の交渉は難航する可能性がある。

 関電は、運転開始から40年を超えた福井県内の高浜原発1、2号機、美浜3号機の3基の再稼働をめざしている。運転40年超の老朽原発の再稼働は、実現すれば全国初だ。だが、その条件として福井県が求める「中間貯蔵施設の県外候補地」を見つけるのは容易ではなかった。

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 関電は2018年にも、むつ…

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