電通を公取委が注意 下請け圧力問題、法違反は「なし」

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田中恭太
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 経済産業省民間委託事業に絡んで広告大手の電通が下請け企業に対し競合他社に協力しないよう圧力をかけたとされる問題で、公正取引委員会は17日、同社の一部行為に独占禁止法違反につながる恐れがあり、注意をしたと発表した。「競争者の取引を妨害する効果はなかった」として違反はなかったと判断した。

 圧力をかけたとされる社員は、経産省側から事業の実施方法について度重なる問い合わせを受けたため、同社のノウハウが別の事業者に流出することを危惧したという。

 公取委が調べていたのは、電通の部長級社員が、再委託先のイベント企画大手「テー・オー・ダブリュー」(TOW)などに圧力をかけたとされる発言。

 公取委によると、電通は、中小企業庁新型コロナウイルス対策の「持続化給付金事業」の一部業務を「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」から受託。うち、申請サポート会場の運営などをTOWを含む2社に再委託していた。

 電通社員は5月中旬以降、別の「家賃支援給付金事業」を行う予定だった中企庁から、会場の確保方法などの実務について、繰り返し問い合わせを受けた。

 電通はすでに持続化事業を受けており、「家賃支援事業の受託は困難」と回答していたが、問い合わせは続き、同23日、別の会社が受託した場合の申請サポート業務を「持続化給付金のサポート会場で相乗りできないか」と打診された。

 不信感を募らせていた社員はノウハウの流出を危惧。職場に居合わせたTOWなど2社の社員に対し、競合他社の博報堂から会場運営業務を受託した場合は「出入り禁止」にする、と発言し、2社の再委託先にも伝えるよう指示したという。事業はその後、人材サービス大手のリクルートが受注した。

電通社員「堪忍袋の緒が」

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