狭くなった東京の空 回り続けて半世紀、レストランに幕

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川口敦子
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 東京都千代田区の東京交通会館15階にある「回転展望レストラン」が、30日で停止する。年末年始と東日本大震災直後の節電時を除いて55年間、回り続けてきた。座ったまま360度パノラマを楽しめる空間は各地で人気を博したが、周辺ビルの高層化や老朽化、経費削減などで次々と回転を止めた。それでも、時代に合わせて存続させているところもある。(川口敦子)

 有楽町駅前にある東京交通会館15階の「銀座スカイラウンジ」。コース料理の提供に合わせて80分で1周する回転レストランだ。開業当時の1965年、連日、利用客の行列ができ、入場制限を行うほどだった。当時は銀座で一番高いビルだったという。晴れた日には秩父連山から丹沢、富士山を遠望することができたが、今は高層ビルに囲まれ、唯一視界が開けるのが東京駅周辺だ。

 11月下旬の平日、足を運んでみると、数グループが静かにランチを楽しんでいた。都外から来たという20代の女性客2人が写真を撮り合う姿も。かつて常連だったという元都庁職員の飯塚美紀子さん(62)は、「まだ都庁が有楽町の近くにあった85年ごろ、いい仕事ができると同僚とランチで来た。東京が国際都市として打って出る時期で、まさに青春の一ページ」と懐かしむ。当初は喫茶・軽食が主流で1周60分だったといい、「1周回って同じ景色が近づいてくると、『昼休みが終わっちゃう!』とみんな慌てだしてね」と笑う。

 「両親に彼女を紹介したい時、遠方から上京の折にビル群のネオンを見てもらいたい時など、今は若い人の利用も少なくない」。運営する東京会館の担当者が予約時の記録を見ながら教えてくれた。「面白かったのは、初めてのお客さまから窓側の席のリクエストが意外と多いこと。全て窓側席なのですが」。通常は時計回りだが、客が楽しめるよう、回転部分のメンテナンスも兼ねて3カ月に1度、逆回りにする。上座は進行方向側の席だ。

 都内では、紀尾井町のホテルニューオータニのレストランが回転していたが、「安全性の考慮」を理由に、2018年3月に停止した。東京会館によると、都内では現在、銀座スカイラウンジを残すのみだという。来夏リニューアルオープンする予定だが、外観はそのままに回転は止めることが決まっている。

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