第5回命守れない生活保護「業務放棄に等しい」 識者の驚き
大阪府八尾市で今年2月、生活保護を受けている母とその息子が死亡した。この事案から何を読みとればいいのか。自治体職員として10年間のケースワーク経験をもち、厚労省の社会保障審議会生活保護基準部会委員などを務める岡部卓・明治大学公共政策大学院専任教授に聞いた。
――大阪・八尾市で生活保護受給中の母と子が死亡した事案をどのように見ますか。
これまで生活保護をめぐって社会問題となったのは、札幌の母子餓死(1987年)、池袋の母子餓死(96年)、そして北九州の52歳男性が「オニギリ食いたーい」と書き残して亡くなったケース(2007年)などが代表的です。いずれも、生活保護の申請を退けられたりした末の出来事で、自治体が対象者を追い返す「水際作戦」が問題視されました。
一方、八尾のケースは、生活保護の受給中に起きたという点で重みが違います。生活保護法は1条で、最低限の生活を保障することと、自立を助長することを目的と定めています。ところが、生活を支えるどころか命を守れなかったという点で、これまでとは一線を画す「事件」だととらえています。
――どのような問題が見えるでしょうか。
八尾市のケースワーカーが…
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