聞き手・松沢憲司
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた今季のプロ野球をめぐり、12球団の社長らが朝日新聞の取材に応じた。巨人の今村司球団社長が、インタビューで今季を振り返った。
――オープン戦の段階で、いち早く無観客での開催に踏み切りました。
「2月25日、みなさんは決断が早いなと思ったのではないでしょうか。実際、批判されることもありました。ただ、ちゃんと開幕を迎えるために、今はいったん引いておこうという感じだったんです」
――開幕の実現可能性が低い時期もありました。
「無理と思ったことはなかったですね。プロ野球のない日常はつくらない、と思っていましたから。日本野球機構(NPB)とJリーグの連絡会議で、専門家の知見もいただきました。先生方は医師だから、当然、慎重な意見になる。そこで責任を持って(開幕を)決断するのは、主催者としての責務だと思ってやっていました」
――感染予防のため消毒薬や体温計などを確保しなければいけませんでした。
「2月の早い段階から、そのあたりは確保に動いていました。12球団で融通し合って乗り切ろうと。そこは早くから、みんなで確認していました」
――オープン戦中に観客に感染者が出れば問題になったかもしれません。当時は社会が野球続行を歓迎してくれるかも分からない情勢でした。
「その通りです。とにかく開幕してからが勝負。それまでの、オープン戦の利益はあきらめましょう、と。それよりも、公式戦をやることを最優先しましょう。そういう決意でした。選手からすればコンディション維持に試合は必要。感染拡大防止との両立をめざして、無観客で試合を続けることになりました」
記事後半では、今村社長が見たファンの姿や、球団のコロナ対策、デジタル戦略への思いを紹介しています
――今季は、チーム活動をとめ…