村井隼人
がんと診断されたことで退職を選択する人をなくしたい――。がんを経験した社会保険労務士の女性が、治療と仕事の両立を支援する団体を設立した。将来的には税理士、キャリアコンサルタント、保健師、ファイナンシャルプランナーを加え、さまざまな問題に対応できる「総合窓口」にしたいと、夢を描く。
団体を設立した女性は、三重県四日市市の國安院(こくあんいん)ゆみさん(37)。2017年夏、首のあたりにしこりのような違和感を覚え、病院で検査した。このときは原因が特定できず、その後に県外の病院で再検査を受けたところ、甲状腺がんと告知された。
「30代でまさか自分ががんになるとは」。ショックは大きかった。
だが、医師から説明を受けたり、甲状腺がん経験者のブログを読んだりして、生存率が非常に高いと分かった。「しっかりと治して元の生活に戻りたい」。前向きな気持ちで、働きながら治療に臨んだ。
がんに罹患(りかん)したことで、がん患者に向けられる「視線」を理解した。「お気の毒に」「私の親戚はがんで亡くなった」――。がんであることを周りに話すと、決まって同情された。
症状は人それぞれで、医療技術…