来日19年、突然手錠をかけられた 今さらどこへ帰れば

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荒ちひろ
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 自分らしく生きる。あたりまえのはずの自由を求め、サファリ・ディマン・ヘイダルさん(52)は祖国を離れた。29年前のことだ。そして今も、求め続けている。

 中東イランの出身。10歳の頃の革命で、国がイスラム教の教えを厳格に強いる社会になった。恋人とのデートも、運転中に好きな音楽を流すこともままならない……。1991年、日本で働いていた兄を頼って来日した。工事の足場を組む仕事に就いた。

 当時、就労ビザを持たない多くの外国人が働いていた。引っ越しのため、役所に外国人登録の変更に行っても、道ばたで警察官から職務質問を受けても、在留資格は問題にされなかった。「労働者が必要だった。当時は、誰も何も言わなかった」

 やがて日本経済は低迷したが、まじめな仕事ぶりが評価され、生活には困らなかった。来日前の日本像は、テレビで見た「おしん」や「七人の侍」。侍には出会わなかったが、イメージ通りの暮らしやすい国だと思った。穏やかな性格になっていく自分を感じた。

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 だが、2010年1月。早朝…

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