夫婦の氏は残しつつ不公平なくす 稲田朋美氏の独自案は

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田中聡子 明楽麻子
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 選択的夫婦別姓制度について、自民党内で激しい議論が続くなか、独自の案を提唱する議員も出てきている。家族の姓は一つとしつつ、結婚前の姓も使えるよう法的に届け出る案を打ち出した稲田朋美・元防衛相に話を聞いた。

 ――選択的夫婦別姓制度については、どう考えていますか。

 「ファミリーネーム」としての夫婦の氏をなくす制度には反対ですが、今まで通り夫婦や子の氏を一つ選んだうえで、結婚後も旧姓を使い続けられる「婚前氏続称制度」を提案しています。婚姻届を出した役所に届け出て、婚姻前の氏を使うことに法的な裏付けを持たせる仕組みです。住民票や健康保険証、運転免許証など法的な意味を持つものには一律に婚前氏を使う。民法や戸籍法の改正が念頭にあります。今も、結婚しているときの氏を離婚後も旧姓に戻さず使い続けられる制度が民法上ありますが、似たイメージです。

 ――今回、独自の提案をしたのはなぜですか。

 女性の方が氏を変える場合が96%という現状は公平といえず、何らかの手当てをしなければ、と思うようになりました。政府の方針は通称使用拡大ですが、限界と弊害があります。たとえば、旧姓を法的に使えないのは日本だけなので海外では理解されず、政府高官がホワイトハウスに入るときにトラブルになったことがあるそうです。また、通称の女性がなりすましの不審人物と疑われるおそれもあります。

 ――婚前氏続称制度なら法的に安定する、と。

 2015年に最高裁は夫婦同姓を定めた民法規定を「合憲」と判断しましたが、15人の裁判官のうちの5人が違憲と判断しました。先日は、最高裁で別氏をめぐる案件が大法廷で審理することが決まり、再び憲法判断がされる可能性が出ています。夫婦同氏を法律で定めることによる不利益に対応するよう求める、司法から立法府へのメッセージではないでしょうか。

 ――名前を変えることに喪失感を抱く人もいます。稲田さんの案は、納得してもらえるでしょうか。

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 民法上の夫婦の氏は一つ。そ…

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