第12回コロナが暴いた「奴隷制」 安い肉の裏で苦しむ移民たち

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レーダウィーデンブリュック=野島淳
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 ドイツでは安売りスーパーが肉の安さを競う。例えば、1キロの骨付き豚肉は約6ユーロ(約760円)で買える。安い肉を卸すには、製造段階でなるべくコストを抑える必要がある。その仕組みを根底で支えているのが、低賃金で長時間働く移民労働者たちだ。

 独西部レーダウィーデンブリュックにある食肉加工会社テニエスの工場で今年6月、1400人超が次々と新型コロナウイルスに感染した。従業員約7400人のうち、3分の2がルーマニアやブルガリア、ポーランドなど中東欧を中心とした移民だ。工場は約1カ月間、行政から操業停止を強いられ、従業員や家族は隔離された。工場がある郡全体で店舗や学校も一時、閉鎖された。

 新型コロナの感染を広めたのは、換気が不十分な職場で密集して長時間働き、家でも多くが狭い一室に複数で暮らしていたことが一因とみられている。一つの郵便受けに名字の違う5~6人の名前が書かれた宿舎は、この工場周辺にいくつもある。移民労働者を支援する国際NGOによると、勤務シフトの違いを利用して一つのベッドを共用する人もいるという。

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 テニエスは豚肉で約30%の…

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