「実質ゼロは当たり前」 パリ協定5年で一変した世界

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ワシントン=香取啓介 神田明美 戸田政考 編集委員・石井徹
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 地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」が12日、採択から5年の節目を迎えた。その間、政府レベルの動きは停滞したが、企業や自治体、市民社会は、パリ協定が目指す脱炭素社会に向けて大きく動いた。2050年までに温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す国は日本を含め120カ国・地域を超えた。実質ゼロに向けた動きは加速しているが、パリ協定の目標達成に残された時間は限られている。

約80カ国のトップが参加

 12日、国連と第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)議長国の英国などが共催するオンライン会合が開かれた。「気候野心サミット」と命名された会合には80カ国近い首脳らが参加し、日本の菅義偉首相のほか、中国の習近平(シーチンピン)国家主席やインドのモディ首相も話した。

 グテーレス事務総長は今月2日の講演で「2021年の国連の主要目標は炭素中立(実質ゼロ)のための世界的な連合を作ることだ。飛躍の年になることを確信している」と話す。

 パリ協定は、地球温暖化に伴う被害を減らすために気温上昇を産業革命前から2度未満、できれば1・5度に抑えることを掲げる。そのために全ての国が温室効果ガスの削減目標などの対策を国連に提出し、5年ごとに見直しながら、今世紀後半に排出の実質ゼロを目指す枠組みだ。

 15年12月にパリで開かれたCOP21で採択され、オバマ米大統領(当時)と中国の習主席が後押ししたこともあり、16年11月に異例のスピードで発効した。これまで、189カ国・地域が批准・締結している。

■南アも「実質ゼロ」宣言…

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