「デジタル円」開発に中国リスク、国際標準めぐり警戒感

有料記事

聞き手・笠井哲也 渡辺淳基 寺西和男
[PR]

 対応を誤れば、日本が「デジタル円」を発行しようとした時、中国仕様になるおそれも――。中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の研究に日本銀行が本腰を入れる中、必要な技術の国際標準づくりに向けた体制強化を求める声があがっている。デジタル人民元の発行を目指す中国が標準づくりに積極的で、中国企業に有利な規格をつくって基幹技術を押さえる可能性があるからだ。

 「中国がかなり一生懸命やっているということなので、我が国が進めている技術が国際標準となり得るような取り組みが欠かせないと提言で書かせていただいた」。自民党の金融調査会事務局長の小倉将信衆院議員は4日の記者会見で強調した。調査会がまとめた提言で、日銀が来春に始めるデジタル円の実証実験を迅速に進めることに加え、欧米と連携してCBDCに関する国際的な技術標準をつくっていくことを求めた。

 国際標準に目を向けた提言は、日銀の元幹部の影響が大きい。「デジタル通貨の標準化の議論は中国がかなり積極的であるようにうかがわれる」。8月末まで日銀でCBDCを担当する決済機構局長を務めた木村武氏(現・日本生命保険海外事業企画部審議役)は11月の調査会の会合でそう訴え、官民あげて国際標準の策定にかかわっていく必要性を訴えた。

 各国の専門家らが参加する国際機関で自国企業に有利な国際標準ができれば、市場での競争でも優位に立てる。2022年の北京冬季五輪までにデジタル人民元の発行を目指す中国は、情報通信や電子技術の国際標準をつくるITU(国際電気通信連合)やIEC(国際電気標準会議)のトップのポストを獲得するなど、戦略的に進めているという。

ここから続き

 日銀はCBDCを発行するか…

この記事は有料記事です。残り2275文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら