コロナで献血ピンチ 必要な輸血量が計画を上回る事態も

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杉浦奈実
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 新型コロナウイルスの影響で、献血が減っている。例年、12月は献血量が少ない厳しい季節だ。大阪や東京では知事がコロナ対策で不要不急の外出自粛を訴えるが、日本赤十字社は「献血は不要不急ではない」と協力を呼びかける。

例年献血少ない冬、コロナが追い打ち

 独自基準で新型コロナの非常事態を示す「赤信号」を3日にともした大阪府。赤十字血液センターによると、府内の献血量は春に大きく落ち込んだが徐々に回復し、11月は計画量と同じ量を得られていた。

 ところが、今度は実際に必要な輸血用の血液量が、献血の計画量を2・5%上回った。センター献血推進課の田中陽子・推進三係長は「わずかな数に見えるが、400ミリリットル献血500人分くらいに当たる」と話す。冬場は脳出血や心筋梗塞(こうそく)などが起きやすく、突然の手術のために輸血の量が増えることが背景にある。

 今のところ、献血をもとにつくって保存していた血液製剤の在庫を使ったり、都道府県境を越えて融通しあったりして、医療機関の要請を断るという事態にはなっていない。

 ただ、例年12月は献血量が少なく、血液製剤の在庫は年明けに1年で最も落ち込む。血液製剤は有効期間が決められており、血小板製剤では採血後4日、赤血球製剤では21日以内でなければ使えないため、常に新しい血液が求められる。

 加えて、大阪では「赤信号」になり外出自粛が呼びかけられた。今年は献血用のバスを派遣できるイベントも少なく、厳しくなりそうだという。

 献血ルームでは、感染を防ぐための工夫もしている。大阪市北区の西梅田献血ルームでは、待合室のソファに一定の間隔でぬいぐるみが座っており、「密」を避けるようになっていた。そのほか▽入り口での体温測定▽マスク着用の依頼▽職員のこまめな手指の消毒▽献血ベッドは1人使うごとに消毒――などを徹底しているといい、献血会場での集団感染は発生していない。

 混雑を避け、スムーズに献血するためにも、できるだけ予約して来場してほしいという。平日の昼間や、雨、寒い日もすいていることが多く、おすすめだ。

 田中さんは「献血は不要不急ではなく、命を助けるために必要不可欠。これまでにしたことがない人にもぜひ協力してほしい」と話した。

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この記事を書いた人
杉浦奈実
科学みらい部
専門・関心分野
生物多様性、環境、科学