ウイルスがまいた第2次大戦の種 歴史生かせぬ宰相ら

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コラム「多事奏論」 駒野剛(編集委員)

 新型コロナウイルスパンデミックが止まらない。米国では1日当たりの新規感染者数が20万人を超え、欧州もいったん解除した都市封鎖を再発動している。

 約100年前、今以上の大流行が世界を脅かした。スペイン風邪という新型インフルエンザにより、諸説あるが世界で2500万人から4千万人、日本も植民地を除く本土だけで45万人の命が奪われたという。

 1918年から20年までの流行で、同時期に戦われた第1次大戦の死者、約1千万人をはるかに上回る大災厄となったのだ。

 22年、内務省衛生局が刊行した「流行性感冒」は、この感染症の特徴を「本病の一度流行するや老幼、貴賤(きせん)の別なく之(これ)を侵し、土地の遠近を問はず迅速に蔓延(まんえん)して種々の社会的事情を生ずる」と書いている。

 事実、感染に貴賤の別はなかった。18年10月末、「平民宰相」と呼ばれた原敬(はらたかし)が、初代首相伊藤博文の墓参りの後、インフルエンザを発症した。さらに当時の皇太子、つまり昭和天皇や秩父宮ら皇族、元老山県有朋も感染し、回復した原らが対応に右往左往した記録が残っている。

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 新型インフルエンザは、短期の混乱にとどまらず、その後の世界史すら変えた、という指摘がある。

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 18年1月、米国のウィルソ…

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