塩抜き料理はおいしくて楽しい 6年半続ける学者の極意

有料記事食のおしゃべり

大村美香
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 塩抜きの食事と聞いて、どう思いますか? 味気ない、おいしくない、そんなの無理……。でも、滋賀医科大学名誉教授で同大アジア疫学研究センター特任教授(公衆衛生学)の上島弘嗣さん(77)は、食塩を含んだ調味料を使わない生活をもう6年以上続けています。食事の模様をつづった「ドクター上島の(続)食塩無添加日記」(http://ketsuatsu.net/wp/別ウインドウで開きます)をのぞくと、自ら台所に立ち、何だか楽しそうです。どのように料理し、食卓を整えているのか、話を聞きました。

 ――どのように料理を作っていますか?

 私は麺類大好き人間でして、ここ数年で減塩や無塩の麺が増えています。うちの近くのスーパーではうどんもそばも乾麺と生麺と両方、食塩無添加の商品が買えます。だしは、昆布とかつお節でとって、ちょっと物足らなければ化学調味料を少し加えるか、鶏肉を加えてうまみを上乗せします。麺も汁も無塩。こうすると塩分を気にする必要がなく、おつゆを全部飲めるんです。

 ――おつゆを飲み干せるのはうれしいですね。

 すごくおいしいですよ。野菜を加えてだしをとってもいいんです。野菜のうまみや香りもいっぱい出ます。味が足りない時は、とろろ昆布を上からかけます。のりをかけて風味を増してもいいですね。ギョーザも好物で、皮は買ってきますが、具は自分で。私は白菜の甘みが好きで、よく使います。野菜を刻んで塩はふらずに手でギュッと絞って水分を除き、豚のミンチと混ぜ、小さじ1のオリーブ油で香りづけ。食べる時に使うタレは、酢とラー油だけです。

 天ぷらは揚げてそのまま。塩やつゆはなし。炒めものもよく作ります。油を使うと、油の風味でおいしくなる。卵を半熟の目玉焼きにしてご飯にのせたら、油の風味と卵のおいしさとが両方一緒になります。

 ――そもそも、食塩無添加食を始めたきっかけは?

 若い頃から血圧が高く、40代から降圧剤を飲んでいて、心臓弁膜症が持病でした。高血圧循環器疾患の予防を研究していましたし、人より減塩はしていたのですが、それでも足りなくて。足に浮腫が出ていて、主治医に「もっと減塩を」と言われてしまったのです。専門家なのにねえ。自分の研究からも、1日に摂取する食塩量の40%以上は調味料由来だと分かっていたので、思い切って食塩を含む調味料を全部使わないことにしようと考えました。2014年3月のことです。

ここから続き

 ――やってみていかがでした…

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大村美香
大村美香(おおむら・みか)朝日新聞記者
1991年4月朝日新聞社に入り、盛岡、千葉総局を経て96年4月に東京本社学芸部(家庭面担当、現在の生活面にあたる)。組織変更で所属部の名称がその後何回か変わるが、主に食の分野を取材。10年4月から16年4月まで編集委員(食・農担当)。共著に「あした何を食べますか?」(03年・朝日新聞社刊)