公明に押された首相 医療費は妥協決着、求心力案じる声

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石井潤一郎 西村圭史 久永隆一 山本恭介 石川春菜
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 75歳以上の医療費の窓口負担見直しをめぐる政府・与党の協議は、菅義偉首相公明党山口那津男代表の会談で決着した。現役世代の「負担軽減」にこだわった首相と、高齢者の「負担増」を避けたかった公明。双方の溝を、トップが互いに妥協する形で何とか埋めた形となった。

「全く譲る気はない」が一転…なぜ

 9日夜、首相と山口氏は都内ホテルの和食料理店で向き合った。首相は会談の冒頭、「200万円以上の方々にご負担いただくということで、お願いします」と伝えた。同日昼まで周辺に「全く譲る気はない」と話していた首相だが、自ら妥協案を切り出した。

 医療費窓口負担を2割に引き上げる所得基準をめぐっては、政府が「170万円以上」を主張。一方の公明は「240万円以上」を譲らず、膠着(こうちゃく)状態に陥っていた。双方の隔たりを自公の政調会長ら幹部協議で埋めることはできなかった。

 今回の負担引き上げは、「全世代型社会保障改革」の中核で、安倍政権から引き継いだ課題だが、そもそも首相の思い入れの強い「改革」の一つだ。「外交も安全保障も強い経済があってこそ」との考えは、前政権の官房長官時代からの持論。経済の重荷となる少子高齢化問題に懸念を強めていた。「団塊の世代」が75歳以上に入り始める2022年以降を見据え、現役世代の負担軽減が必要と考え、「これをやらないと『全世代型』の社会保障じゃない」と周囲に語っていた。

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 その首相がなぜ、自ら妥協に…

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