第1回蜜月だったパナとテスラ「すれ違い」どこで? 新型電池

有料記事パナソニック 成長への羅針盤

西尾邦明
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テスラも開発 突然の問いかけ

 この夏、パナソニック社長の津賀一宏は、米テスラの役員とウェブ会議に臨んでいた。

 「新型の電池を近く発表する。何か提案はないか」

 先方の突然の問いかけに、即答できなかった。テスラは電気自動車(EV)の最大手。電池を供給するパナソニックと二人三脚で歩んできた。ただテスラは当初から電池の自社開発を考えていた。その計画が着実に進んでいたことを知らされた瞬間だった。

 テスラの最高経営責任者(CEO)、イーロン・マスクは、すぐに動いた。9月22日、米カリフォルニア州で開いたイベントで宣言した。「大幅にコストダウンした新型電池で、3年後には2万5千ドル(約260万円)のEVをつくる」

 新型電池はすでに試験生産を進め、量産も視野に入れる。パナソニックも同様の電池の開発を急ぐが、テスラに先行を許せば、自社の優位が揺るぎかねない。ただ津賀は「大した知的財産も持たないテスラが単独ではできない」と強気だ。社内には、いずれテスラが頼ってくるだろうとの見方がある。だが、「テスラがどこまでノウハウを持っているのか、競合他社と交渉しているのかもわからない」(幹部)との不安もある。

関係にブレーキ「すれ違い」

 両社はこれまで、蜜月関係を築いてきたはずだった。どこで「すれ違い」が起きたのだろうか。

テスラだけで、新しい電池をつくれるのか。世界初の量産型電気自動車(EV)「日産リーフ」の電池開発に携わった慶応義塾大学大学院の堀江英明特任教授の分析を、記事後半でご紹介します。

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