尖閣侵入の船、廃船に 活動家、鉄くずにして借金返済へ

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広州=奥寺淳
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 沖縄県尖閣諸島周辺の領海に度々侵入し、活動家を上陸させたこともある香港の団体「香港保釣行動委員会」の船が、老朽化のためスクラップにされることが分かった。尖閣をめぐる対立などで日中関係が悪化した時期は大口の寄付もあったが、近年は資金不足で修繕もままならず、鉄くずを売って借金を返すという。

 処分されるのは、全長約32メートルの啓豊2号(54トン)。2013年以降、香港島東部の港に留め置かれたままで、今年11月下旬、朝日新聞の現地助手が確認すると、青と赤の船体は茶色いさびで覆われ、左舷が傾いていた。そばには香港海事当局の船が停泊し、出航しないよう監視していた。

 陳裕南・同委員会主席は「船底には水も浸入し、運転できない状態」と話す。委員会は数十万香港ドル(数百万円)の負債を抱え、寄付も減って修理する資金がないという。大口支援者がいなくなって財政的な基盤が揺らぐなか、船の修繕を担当してきた造船所が、スクラップにした鉄くずを売って借金を返済することを提案。委員会側も受け入れたという。

 幹部によると、委員会は05年に中古のトロール漁船を購入。尖閣諸島(中国名は釣魚島)の領有権が中国にあると主張するため、尖閣周辺を目指して再三、出航を試みてきた。

 12年8月15日には活動家を乗せた同号が尖閣周辺の日本の領海に侵入。日本の巡視船が放水などで進路を変えるよう警告したが、7人が泳いで魚釣島に上陸を強行し、船内にいた活動家を含む計14人が出入国管理法違反(不法上陸など)で逮捕された。

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