北川慧一
老舗の百貨店がこの秋、5人いる売り場責任者(部長)に初めて全員女性を登用した。これまで女性は1人だけだった。背景には、新型コロナウイルスの感染拡大で1カ月以上もの休業を余儀なくされるという未曽有の危機から得られた「気づき」があった。
北九州市のJR小倉駅にほど近い井筒屋本店の本館6階リビングフロア。ブランド別に区切られた売り場が主流の百貨店にあって、ブランドの垣根なくテーマ別に商品をそろえた「自主編集」と呼ばれる売り場も多い。和雑貨が並ぶコーナーでは、商品を紹介するポップが目立つところに掲げられている。
「ぶらっと買い物に訪れるというより特定の商品を買うという目的を持って来店するお客さまが増えた。ぱっと見てすぐ分かる売り場が求められている」
拡大する井筒屋本店リビング・呉服・宝飾・美術部長の立花三和子さん=北九州市
9月にリビング・呉服・宝飾・美術部長に就いた立花三和子さん(55)はこう分析する。入社後37年間、ほぼリビングの担当をしてきた。現在も時間があれば売り場に出て、商品を紹介するポップや値札などに目を光らせる。
井筒屋の来店客は8割が女性。…