街にも職場にも巻きスカートの男女 洋服避ける謎追った

有料記事特派員リポート

ヤンゴン=福山亜希
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 ミャンマーの「ロンジー」をご存じだろうか。民族衣装の巻きスカートで、ミャンマーでは男女ともに日常生活ではく人がたくさんいる。ほかの東南アジア諸国では、伝統的な衣装を目にする機会はずいぶん減った。民主化と経済発展が進むミャンマーで、ロンジーが根強く支持されるのはなぜだろう。その理由を探ってみた。

「スーツ着てもよいのだけれど…」

 11月19日の夕方。最大都市ヤンゴンの中心部は、家路を急ぐロンジー姿の人々で埋め尽くされていた。洋服を着ている人を見つける方が難しい。「ズボンより簡単にはけて、軽い。この長所があるから、ロンジーの文化は続いている」。毎日ロンジーを身につけているという大学院生ウィヤンピュウナインさんはそう話した。

 ロンジーは筒状の布を腰に巻きつけてはく。男性は中央で結び、女性は左右に寄せる。丈はくるぶしくらいで、足元は草履。ゆったりして、高温多湿のミャンマーで涼しく感じられる。主に地方で織られ、生産地によって柄に特徴がある。

 着古したロンジーをパジャマ替わりにする人も珍しくない。農村部は浴室がない家も多く、外で水浴びするときは専用のロンジーで体を隠す。人によっては一日中、ロンジーで過ごす。

 ロンジーをまとうことが義務となっている職業もある。公立校は教師も生徒も緑のロンジー、看護師は主に赤のロンジーと、色分けされている。ミャンマー看護師・助産師評議会のネーネーキン議長は「赤は勇気を表す色。ミャンマーの看護師は昔からロンジーをはいていて、それは日本の統治時代も変わらなかった」と言う。

 ホテルの給仕や大手銀行の行員も、仕事着はロンジーだ。エヤワディ銀行のノーイエジンさんは「ロンジーは私たちの文化。スーツを着てもよいのだけれど、優雅に見えるのでいつもロンジーにしている」と語った。

身にまとう「意味」

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 庶民の間でロンジーは、ひそ…

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