防災ヘリが運航できず パワハラ生んだ航空業界の闇

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聞き手・松沢拓樹
【動画】岐阜県防災ヘリ「若鮎Ⅲ」が運航再開=松沢拓樹撮影
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 岐阜県防災航空隊が10月末から防災ヘリ「若鮎Ⅲ」の運航を再開した。昨秋、県防災航空センターの整備士(当時)によるパワハラ行為や不適切な管理体制が発覚し、航空隊は同機を1年間、運航できなかった。県民の命を守る防災ヘリが、なぜこの事態に陥ったのか。再発防止策は――。

 「若鮎Ⅲ」をめぐっては昨年11月、整備士による部下への暴言や暴行などのパワハラ行為を県が公表。調査の過程で、整備士が定期的に義務づけられた点検を実施していなかったことや、ガソリンの不適切保管も発覚した。

 整備士は今年1月に退職。3月にほかの整備士がもう1人退職した。同機は整備士3人態勢で運航してきたため、県は4月と10月、相次いで新たな整備士を採用。運航再開に向けて再発防止策を進めてきた。

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 柱になったのが、専門家らでつくる「県防災ヘリ運航管理のあり方検討会」の提言に基づいて県が策定した「アクションプラン」。ハラスメント相談窓口の設置や、法令の組織的共有などを盛り込み、実地訓練をしてきた。

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 一連の問題はなぜ起きたのか。県危機管理部の立石薫次長は「航空業界自体が狭い、密な世界」と指摘する。操縦士や整備士の資格を持つ人材は限られており、異動が多い他の県職員と比べ、長期にわたり同じ人員で業務にあたることになる。立石次長は「特殊な世界ゆえに人員が固定化されてしまう。その上、与えられる責任が大きく、負担が重い」と話す。

 再発防止策では、風通しの良い職場環境づくりを担う課長級の管理職「防災航空センター管理監」を新たに設置。立石次長は「今後は県としても、もっと航空隊に関与し、情報共有をしていく」と語った。

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 2機態勢で運航してきた県防…

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