「老化」そのものをターゲットにして、病気の予防や治療法が開発できないか――。年をとると体内で起こる現象を解明して、健康寿命を延ばす薬や栄養食品の開発をめざす新たな老化研究の流れが加速している。研究組織立ち上げや治療法開発の発表も相次ぐ。
「抗老化法の開発や健康寿命を延ばすことはもはやSFではなく、実現可能な目標だ」
プロダクティブ・エイジング研究機構(IRPA)代表理事の鍋島陽一・京都大名誉教授はこう話す。IRPAは米国の私立研究所をモデルに、老化や寿命をコントロールするしくみを理解し、抗老化法の開発をめざす組織で昨年設立された。今年、本格的に活動を始めた。
がん、心臓病、糖尿病、アルツハイマー病……。こうした病気になるリスクを高める最大の要因は、年をとることだ。高齢になれば体の働きが衰える「老化」により、病気が増えてもしかたがないと考えられがちだ。
だが、老化そのものを抑えられれば、多くの病気になるリスクをまとめて下げられる。その可能性を探る研究が急速に進んできた。
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たとえば、IRPAの理事の…
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