いつまでも「敗北宣言」をしないトランプ米大統領への風当たりが強まっている。敗北を認めないことは、醜い悪あがきか、それとも粘り強さなのか。「美しい負け方」を考える。
元プロボクサー・坂本博之さん「人生の勝負はこれからも」
負けを認めないことは、みっともない、潔くないことなのでしょうか。僕はそうは思いません。負けを認めると、全てが終わってしまうような気がする。そんな時期はあるし、そんな人もいます。トランプ氏の気持ちも理解できます。僕も、負けてもいいんだということに気づくのに、何年もかかりましたから。
1970年生まれ。日本ライト級と東洋太平洋同級王座を獲得。世界には4度挑戦したが、届かなかった。
1991年にプロデビューし、19連勝しました。初黒星は95年の20戦目。そして2000年、畑山隆則さんとの世界戦で、初めてのノックアウト(KO)負け(TKOを除く)を喫しました。
その頃、負けとは自分の人生が否定されることだと思っていました。幼くして両親が離婚して親類宅に預けられ、熱湯をかけられたり、食事を与えてもらえず捕まえたザリガニを食べたりしました。その後、児童養護施設で育った僕は、勝つことで自分を肯定することができたんです。他の子どもにあるものがなかった僕は、人に認められ、安心な場に居続けるためにも「昔に戻りたいのか。勝て!」と自らに言い聞かせました。試合に負けたとしても、それを認めないことで、次の試合に向かう原動力を得ていたんです。
しかし大きな試合に負けた後…
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