永里優季 男子チーム挑戦の深い意味(中西哲生コラム)

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 サッカー女子元日本代表FWの永里優季選手が、9月から加入した神奈川県2部の男子チーム「はやぶさイレブン」で公式戦4試合に出場し、11月22日のリーグ最終節では先発出場しました。年明けの来季は米国女子プロリーグに戻りますが、多様性が叫ばれる中、メッセージ性のある永里選手の今回の挑戦は、男子の日本代表が世界で戦っていくうえでも大きなヒントになると考えています。

 永里選手と個人的なトレーニングを始めたのが2012年でした。今はスペイン・ビリャレアルにいる久保建英選手と始めたのもその頃で、3人で一緒にトレーニングしたこともあります。そんな中、翌13年に永里選手がポロッと「いつか男子チームでプレーしてみたい」と話してくれました。11年の女子W杯で優勝、12年のロンドン五輪と15年の女子W杯で準優勝を経験し、その両大会の決勝でゴールを決め、さらに12~13年シーズンにはドイツ・ポツダムでブンデスリーガ得点王に。既に結果はついてきていました。そんな中、彼女自身、プレーする喜びの方向性が「もっと自分の力を伸ばしたい」という内的な要因を成し遂げる方に変わってきていたのです。

 「男子の中でプレーするための技術」として、永里選手とのトレーニングで重視したのは、ボールをきれいに収めるトラップです。そこで普段のパス練習でも、あえて彼女にはしっかりとした強いボールを蹴っていました。男子の蹴るキックは女子より速くて重い。それを意識し、体の重心位置を上げてボールの上半分に触ると、足からボールが跳ね返らずピタッと止まります。逆に重心位置を下げてしまい、ボールの下半分を触ると、跳ね返りやすくトラップミスになりやすい。これをトレーニングでしっかり体得した永里選手は、強くて重いボールの止め方に開眼し、今では「男子のボールの方が止めやすい」とまで話しています。

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 またフィジカルの強さ、スピ…

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